Pherrow's L2

フルカウントの定番モデルとは違
った銅製のボタンを使用。またフロ
ント部のVステッチもアレンジが施
されている。

センターベルトループの内側に取り
付けられたブランドタグ。フルカウント
の定番モデルには見られない、コレ
クション独自のブランドタグだ。

outlet&sanple saleであっても
普段と同じように糊落とし用の
洗剤が入っていた。小さなこと
だがフルカウントの接客・販売
へかける姿勢を垣間見ることが
できる。

ワタリの細さを感じる画像。また
バックポケットに取り付けられた
タグはジーンズのサイズが記さ
れていたが、購入時にはもう擦り
切れてサイズタグはほとんど文字
が判別できなくなっていた(笑)

ピンクの縦糸が無いことを除けば、
セルビッジの幅は1108と同じで
ある。PD-010は白地と縦糸が逆転
した独特のディティールだったが、
PD-020では白地に白の縦糸になっ
ている。勿論、セルビッジは綾織り
で、強いアタリが期待できる。

『フルカウントはもちろんこれからも続けていきますが、そのワクを超えて自分が考える最高級のものをつくりたかったんです』(辻田幹晴,HDP編集部:『最強ジーンズ完全網羅』HOTDOG PRESS 2月10日号;講談社.1999.P40.)

ジンバブエコットンで「穿き心地」と言う新しい価値観を提示したフルカウントが99年の秋に立ち上げたもうひとつのフルカウント、『FULLCOUNT collection』のPD-020である。

ジンバブエ・コットンのデニムに丁寧な縫製、リベットやボタン等のパーツと、フルカウントで培った技術やコダワリはそのままに、新しいジーンズを提案する。

『Sタイプだからここはこうと言う規制が入ってしまって。それがだんだん我慢できなくなってしまったんです』
(辻田幹晴,POPEYE編集部:『98年度版ジーンズ大特集』POPEYE 5月10日号;講談社.1998.P81.)と、人気の66やSタイプを廃止、0105/1101/1108の主力モデルのデニムと縫製レベルを全て統一した。『FULLCOUNT collection』はフルカウントを土台としながらも脱レプリカ路線を歩む、フルカウントの象徴的なモデルとして購入したいと常々考えていた。しかしRHCPのアルバム同様、5年間手を出さないままだった(笑)

アタマの片隅でずっと気になりながらもなかなか手にする機会がなかったが、『2004 outlet&sample sale』で発見、当然ながら即購入となった。今年はスケジュールの都合で行けないかな(ちなみにショップでの滞在時間は20分弱である)と思っていたところに欲しかったアイテムを、しかもマイサイズでゲットできたために喜びも倍増だ。
今回、フルカウントの接客・販売に臨む姿勢を実感したことがある。なんとsaleにも関わらず、ジーンズの試着用ウォッシュサンプルを用意していたのだ。

フルカウントに限らず、どのブランドでも服は意図するシルエットでサイズ取りが大きく変化する。ちなみにMSの場合、フルカウントの1101では27インチ、1108では28インチである。1108はモデルチェンジ前は27インチがジャストだったが、モデルチェンジ以後は大腿周径がタイトに成りすぎ、27インチは穿けなくなってしまった。

話が若干逸れてしまったが、特にジーンズ、それもリジッドであれば試着は大きな意味を持たない。しかも多くの人が訪れるsaleでは接客よりも効率を優先し、縮率の大きなアイテムであってもウォッシュサンプルを用意していることは非常に少ない。

コダワリを持って造り上げたアイテムだからこそ、きちんとした接客で販売する。当たり前に思うことだが、初心を保ち続けることほど難しいことはない。そんな真面目なフルカウントのスタイルを、これからも僕は強く支持するだろう。

フロント部の全景。股上が浅く、銅製のボタンが亜鉛メッキの1108等のモデルとは異なった印象を与える。
フルカウント・コレクションの独特のディティールとして、ポケットの袋布がある。ネイビーの素材に明るい色
のカッパー・リベットがマニア心をくすぐる美しさだ。またポケットの縁もほつれにくいようにパイピング処理が
施され、いいモノが造りたいという辻田氏を始めとするスタッフ達の情熱を感じる。

インサイドの割縫いは、1108(左図左側)
では一重のチェーンステッチとシングルステ
ッチだが、PD-020(左図右側)では両側から
二重のチェーンステッチがかけられている。
手間暇をかけた縫製により、ダメージを受け
やすい大腿内側部の強度向上が期待される。
ダメージを受けやすい細身のシルエット故の
補強工程だろう。また穿き込むにつれ、どんな
アタリが出てくるのかも興味深い。

フルカウント・コレクション初の
ジーンズだったPD-010は1101
のシルエットに近かったが、こ
のPD-020は旧1108に近く、より
タイトなシルエットになっている。